東京都市大学伊坪研究室、グリーンスポーツアライアンスとの共同研究~カーボン・フット・プリントの算定と分析~

2021.07.26(月)

その他

 ヴァンフォーレ甲府は、2019年にSDGs実現に向けた取組の一環として、東京都市大学伊坪徳宏研究室、一般財団法人グリーンスポーツアライアンスと、「スポーツ団体を対象とした環境評価の枠組み構築と活用」の共同研究(2018年2月~2019年1月のデータより算出)を行い、2020年4月に研究結果を発表いたしました。今回は、2019年度(2019年2月~2020年1月)の研究結果と2020年度(2020年2月~2021年1月)の途中経過を発表いたします。2020年度につきましては概算値となりますが、新型コロナウィルス感染症が当クラブのカーボン・フット・プリント(CO2排出量)にどの程度の影響を与えたかを把握するために分析いたしました。
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 2018年、佐久間GM(当時)が参加したCOP24において、パリ協定の運用指針に基づく目標達成に向けて、「スポーツを通じた気候行動枠組み」が発表され、スポーツ業界が一般企業とともに、気候変動問題へ具体的なアクションを取ることが国際的にも求められています。
 スポーツに関する環境影響評価事例は、これまでスポーツイベント評価を対象とした事例が多く、スポーツ団体という組織の年間事業活動を対象とした環境影響評価の事例は海外でも少ないのが現状です。また、世界の主要企業のCO2排出量算定や気候変動への取組に関する国際的情報開示システムであるCDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)に準じると、スポーツ団体は組織レベルの評価までには至らず新たな評価手法が必要であったため、スポーツ団体を対象にCFP(カーボン・フット・プリント)の算定を実施し、CDP気候変動の質問項目を活用し、東京都市大学伊坪徳宏研究室がスポーツ団体に則した質問書を作成し、ヴァンフォーレ甲府が回答することで「見える化」を行いました。

 CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)・・・気候変動など環境分野に取り組む国際NGOで、気候変動が企業に与える経営リスクの観点から、世界の主要企業のCO2排出量や気候変動に関する情報を質問書を用いて収集し、集まった回答を分析、評価することで、企業の取り組み情報を共通の尺度で公開していくことを目指した。  CFP(カーボン・フット・プリント)・・・商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品やサービスにわかりやすく表示する仕組み。

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 対象年度の1年間でクラブが排出したCO2排出量を24の項目ごとの活動量に総務省の産業連関表に基づいた原単位を掛け合わせて算出しました。

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2019年度主体別CFP結果の割合
 総排出量は2,033tとなりました。2018年度同様に、遠征等で、航空機等を使用するトップチームの活動が549tで約27%最も多く、サポーターの自家用車での来場が476tで約23%、クラブオフィスでの排出量が481tで約24%と続きました。
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2020年度主体別CFP結果の割合(概算値)
 総排出量は1,498tとなる予定です。新型コロナウイルスの影響により、来場者数の制限を行ったことが大きな影響を及ぼし、また、例年実施しているアカデミーの海外遠征の中止により、航空機利用による排出量の削減がありました。一方で、コロナ禍で三密を避けるためにトップチームの遠征のパス台数を増やしたことなど、コロナ禍により排出量が増加した項目もありました。
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【参考資料】2018年度主体別CFP結果の割合
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※2018年度の数値を再計算した結果、誤りがありましたので、2020年4月に発表した、数値と異なっております。

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 この一連の取組で築いた知見を基に、先日特許申請を行いました。ヴァンフォーレ甲府同様、年間事業活動から生まれるCO2排出量の見える化に関心のあるスポーツ団体や、CDPなど世界主要企業の行う開示基準に準じることは難しいがCFPの算定は行いたい中小企業の皆様と一緒に、CO2など温室効果ガスの排出量削減への行動を地域一体となって進めるヴァンフォーレ甲府なりの取り組みを行いたいと考えています。年間の事業活動で排出されるCO2排出量を見える化することで、事業で無駄なプレーをしている可能性がある部分が見えたり、生産効率性向上への施策を検討するきっかけとなったり、CO2排出量抑制への新たな企業間連携に繋げたりと、ヴァンフォーレ甲府として新しい事業価値を提供できないかと考えています。
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